支援活用事例
IOTで牛を見守る:ふくしま産業応援ファンドを活用したモニタリング技術の開発
2025.09.09
事業者名:東和株式会社
事業内容:縫製業
所在地:本宮市本宮字舘町2-1
会社概要
東和株式会社は、1906年創業の老舗縫製工場で、官公庁及び民間向けの制服を製造販売しています。高い縫製技術と品質管理に支えられ、ISO9001の取得や地域未来牽引企業に選定されるなど、技術と社会への責任を両立して成長を続けています。

制度利用の背景や支援内容
牛はストレスや発情期に心拍数や歩数などの変化が見られますが、歩数計を装着すると歩かなくなる例や、体毛による電極装着の難しさなど、正確なデータ取得には課題がありました。また、畜産牛の体調管理には、体の各所に複数のセンサーを取り付ける必要があり、牛にも作業者にも大きな負担となっていました。そこで負担軽減のため、当社で既に商品化していた人間用のスマートウェアを畜産用に応用できないかと考えました。
1度目の技術開発事業で見守りシステムは完成したものの、皮膚のこすれによる電極の劣化でノイズが発生し、発情予測のアルゴリズム検証に必要なデータが十分に得られませんでした。そこで課題を整理し、補完事業として再び技術開発事業に取り組んだ結果、電極の改良と県内農場のご協力による実証試験を経て、発情および分娩予知システムを組み込むアルゴリズムが完成し、製品化に至りました。
さらには販路開拓事業を活用し、令和7年1月のウェアラブルEXPOに出展。多くの来場者から関心を寄せていただきました。令和6年9月発売以降、これまでに6セットを販売しております。

ふくしま産業応援ファンド事業について
公益財団法人福島県産業振興センターでは、本県産業の活性化及び自立的発展を図ることを目的として、県内中小企業者が実施する新製品・新技術開発、開発に向けた調査・分析等の費用や販路開拓にかかる経費の2分の1を助成しております。
企業の声
当初は、牛の動きによる電極のずれや厚い皮膚の影響で、思うようにデータを取得できませんでした。そうした中、東北大学工学部の先生との意見交換をきっかけに、電極形状の試作に尖角タイプを採用したところ、これが大きな転機となりました。
1月に参加した展示会では、来場者の目を引くよう、大きなあかべこにスマートベルトを装着。楢葉町の牧場からリアルタイムでデータを受信するデモンストレーションを行ったところ、多くの方が足を止めてくださいました。その際、新たなアイデアもいただき、現在その実現に向けて取り組んでいます。
今回、ふくしま産業応援ファンド事業を活用し、技術開発事業から販路開拓事業へとステップアップできたことで、製品化から販売への道筋をつけることができました。センター職員の皆さまにも日頃より親身に相談に乗っていただきました。
この「MOWスマートベルト」が、農場の生産性向上や作業の負担軽減、さらには人手不足の解消にもつながることを期待しています。
問い合わせ先
技術支援部技術総務課
TEL:024-959-1929
FAX:024-959-1889
E-mail:f-tech@f-open.or.jp